放射MTGメモ(2015/02/16)

参加者

  • 倉本圭, 石渡正樹, 高橋康人, 齊藤大晶, 大西将徳

系外惑星放射計算プログラムの開発 (大西)

  • H2O 混合大気の圏界面の推定
    • UV 領域の吸収について
      • これまで使用していた光学データ
        • HITRAN, HITEMP では, 〜30000cm-1 程度までの線吸収がリストされている.
        • MT_CKD model では, O3 の吸収は 54000cm-1 まで計算できる.
      • 中心星放射を考慮して放射計算する場合には, 高波数領域の吸収を考慮する必要あり.
        • Goldblatt+2013: 100000cm-1 までの H2O の吸収考慮
        • 主な分子の高波数での吸収の立ち上がり: H2: 11eV, N2: 12eV, O2: 7eV, H2O: 7eV, CO2: 7eV, O3: 1eV
    • 圏界面の推定
      • 計算設定
        • 温度プロファイル:
          • moist pseudoadiabatic lapse rate (Nakajima et al., 1992)
          • 地表面温度 250, 270, 290, 300, 310, 330, 350 [K]
          • 上空は, 地表圧力の 10^-6 気圧まで計算
        • 大気組成: H2O + 非吸収分子(地表で 10^5[Pa])
        • 地表面アルベド = 0.2 (赤外領域はアルベド = 0)
        • 光学データ: HITRAN2008 (0 - 25000cm-1), MT_CKD model (0 - 50000cm-1), UV 吸収 (Chan et al., 1993), Air の Rayleigh 散乱の散乱断面積(Bucholtz 1995).
        • 太陽放射: 5800[K] の黒体を仮定. 大気上端で, 太陽定数の1/2 のエネルギー. 入射角 A は cosA = 1/2.
        • 地表面アルベドAs:
          • As = 0 (0 - 3000cm-1)
          • As = 0.2 (3000 - 100000 cm-1)
        • 放射伝達計算
          • 太陽放射と惑星放射は独立に放射計算を行っている.
          • 惑星大気の放射計算: 放射源関数に大気放射と散乱光
          • 太陽放射の放射計算: 放射源関数に散乱光と直達光
        • 計算波数: 0 - 100000 cm-1 (太陽放射, 惑星放射ともに)
        • 波数解像度: 0.01 cm-1 (0 - 25000 cm-1), 10 cm-1 (25000 - 100000 cm-1)
      • 結果と議論
        • UV の吸収により太陽光による加熱が大きくなっている.
        • 加熱率が負から正になる温度: 140 [K] 付近(UV あり. 地表面温度 300K 以下), 80 [K] 付近 (UV なし. 地表面温度 300K 以下)
        • 加熱率が負から正になる混合比: 1e-10 付近(UV あり. 地表面温度 300K 以下), 1e-21 付近 (UV なし. 地表面温度 300K 以下)
        • 太陽光による上空の加熱率が負になるところがある: 計算がおかしいのではないか.
        • 下層で, 太陽光による加熱と惑星放射による冷却が同程度であるのは, なぜか?
        • 上空のイオン化分子による吸収は, 常識的には効かないだろう.
        • 今回の計算は, 圏界面温度の最低温度を見積もっている. 実際の太陽光スペクトルで計算したらどうなるか?: UV 超過による加熱.
  • 系外惑星大研究会について
    • タイトル: Development of a radiative transfer model for steam atmospheres and application to Earth-like planets (水蒸気大気の放射モデリングと系外地球型惑星への応用)
    • 発表時間は限られているので, 地球型系外惑星のモデル開発とアプリケーションに絞って話す.
  • mtg 資料

木星大気の放射計算(高橋康)

  • 太陽光を入れた放射計算
    • 太陽の放射計算も含め, 放射対流平衡により温度構造を決める.
    • 分子種を変えて放射計算をすることで, 分子ごとの放射収支の寄与を考察する.
    • 計算設定
      • 波数領域 0 - 25000cm-1, 波数解像度 1cm-1
      • 太陽光は 5800 K の黒体を仮定.
    • 計算結果
      • 計算はまだ平衡に達していない.
      • 対流圏の温度構造への寄与は H2-He & NH3 が大きい
      • 上空の NH3 の冷却が興味深い.
    • 議論
      • この計算を先行研究との関係でどのように位置づけるか
      • NH3, CH4 の紫外線の吸収は考えなくても良いのか

次回の日程

  • 2/17 (火) 9:00- (倉本先生不在)
  • 2/23 (月) 9:00-
    • 10:30- 石川先生を交えて H2O 連続吸収の物理の議論