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木星大気を想定した仮想惑星実験のための予備的実験その1

概要

木星大気の 2 次元計算をおこなった Sugiyama et al. (2008) を参考に, 木星大気を想定した仮想惑星実験のための予備的実験を行った.

ここでは, 地球大気での水惑星実験モデルを基に, 一部の物理定数 (重力角速度, 乾燥大気の平均分子量) と一部の物理過程 (放射, 地表面フラックス等) を Sugiyama et al. (2008) に倣ったものに 変更して計算を行った. 詳細は 実験設定 を参照のこと.

計算結果は 初期値および実験結果 に記す.

実験環境

システム (uname -a) SUPER-UX unix 14.1 SX-6
コンパイラ FORTRAN90/SX
依存するライブラリとバージョン
  • netCDF ver 3.6.1
  • gt4f90io ver 20080605
  • ISPACK ver 0.71
  • spml ver 0.4.2

実験設定

プログラムのソースコード dcpam4-20080609-1 [TAR.GZ]
ビルド時の設定ファイル
NAMELIST ファイル info00/dcpam_jupiter_case00_T21L24_0300day.nml
初期値
  • 風速は 0 [m s-1].
  • 地表面気圧は 3e+6 [Pa] (= 30 気圧).
  • 温度の基本場は, σ=1 で 490 [K] とし, 気圧 1.0e+4 [Pa] となる高度まで, 温位一定で (乾燥断熱線に沿って) 高度に伴い温度を減少させる. 気圧 1.0e+4 [Pa] 以下の高度では温度一定とする. さらに, これに微小擾乱を加える. 初期値および実験結果 の項目を参照のこと.
  • 比湿は σ=1 で 6.11641e-3 [kg kg-1] とし, 比湿が飽和比湿の 75 % となる高度までは一定とする. その高度以上では, 比湿を飽和比湿の 75 % とする. 初期値および実験結果 の項目を参照のこと.
 
計算領域 水平(λ,φ) : 全球 (λ=[0, 360], φ=[-90, 90])
鉛直(σ=p/p0) : 大気下端〜上端 (σ = [0, 1]), 大気下端は 3.0e+6 Pa
時間間隔 10 分
積分時間 300 日
境界条件
  • 水平(λ,φ) : 周期境界条件
  • 鉛直(σ)
    • dσ/dt = 0 (σ = 0, 1)
    • 地表面運動量・熱・水蒸気フラックスはゼロ.
    • 最下層中間 (σ=0.8987071) の温度を 490.0 * 0.8987071 ** ( 乾燥大気の気体定数 / 乾燥大気の定圧比熱 ) ≒ 474.374 [K] に固定.
    • 最下層中間 (σ=0.8987071) の比湿を 6.11641e-3 に固定.
数値解法
  • 水平(λ,φ) : スペクトル法 (球面調和関数展開・三角形切断)
  • 鉛直(σ) : 差分法 (Arakawa and Suarez, 1983)
  • 時間(t) : リープフロッグスキーム.
    • ただし重力波の項にはセミインプリシット法を用いる. 時間フィルター (Asselin, 1972). を用いる. フィルター係数は 0.05
 
空間解像度 東西格子点数 : 64
南北格子点数 : 32
鉛直格子点数 : 24
最大波数 21
 
惑星半径 6.371e+6 [m] (地球の値)
回転角速度 7.292e-5 [s-1] (地球の値)
重力加速度 23.1 [m s-2] (Sugiyama et al (2008) より)
乾燥大気の平均分子量 2.3053533e-3 [kg mol-1] (Sugiyama et al (2008) より)
乾燥大気の定圧比熱 11900.9264 [J K-1 kg-1] (Sugiyama et al (2008) より)
乾燥大気の気体定数 3611.44466 [J K-1 kg-1] (Sugiyama et al (2008) より)
最大波数に対する e-folding time 10800.0 [s]
超粘性の次数 8
 
力学過程 プリミティブ方程式系. 詳しくは 数理モデル および 離散化モデル を参照のこと.
物理過程
  • 木星大気を模した放射冷却の効果として, 2.0e5 〜 1.0e4 Pa の範囲に -1.0 K/day の冷却効果 (Sugiyama et al. (2008) に倣う).
  • 鉛直拡散 (Mellor and Yamada, 1974, レベル 2)
  • 1.0e4 Pa よりも上部の層へ, 速度の擾乱成分を潰すための減衰の効果 (スポンジ層). 時定数 1 日で東西平均値へと減衰. (Sugiyama et al. (2008) に倣うが, Sugiyama et al. (2008) は CReSS ユーザーガイド 第2版 (6.188) と同様な高度に応じて 時定数を調節して摩擦の効果を与えている).
  • 湿潤対流調節 (Manabe et al., 1965) (地球大気水惑星実験で使用したものを流用. 凝結成分は水のみ)
  • 診断型大規模凝結 (地球大気水惑星実験で使用したものを流用. 凝結成分は水のみ)
  • 乾燥対流調節 (地球大気水惑星実験で使用したものを流用)

実行結果に関する付加情報

標準出力 info00/dcpam_jupiter_case00_T21L24_0300day_stdout.txt
標準エラー出力 info00/dcpam_jupiter_case00_T21L24_0300day_stderr.txt
プロファイラによる速度計測 info00/ftrace.txt

参考文献

初期値および実験結果



初期値

     
温度の基本場の高度分布

比湿の高度分布

       


実験結果

     
  東西風速 [m s-1] 南北風速 [m s-1] 温度 [K] 比湿 [kg kg-1] 鉛直速度 [s-1]
σ=1〜0 での
東西平均,
200〜300 日
時間平均値










σ=1〜0.003 での
東西平均,
200〜300 日
時間平均値










σ=0.003 での
200〜300 日
時間平均値










σ=0.003 での
東西平均, 
200〜300 日
時間平均値










σ=0.1 での
200〜300 日
時間平均値










σ=0.2 での
200〜300 日
時間平均値
















降水量の全球平均値の時間変化.

温度の緯度経度平均値の時間変化.

比湿の緯度経度平均値の時間変化.

 
     
温位の緯度経度平均値の時間変化.

   
           

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