水惑星における灰色大気大循環 (Ishiwatari et al.(1998) の再試)

目的

Ishiwatari et al.(1998) において, 水惑星における灰色大気大循環の数値実験が行われた. これとよく似た条件の数値実験は, ひと昔前の DCPAM 5 (20140630-2 版)を使ってもまた行われいる (http://dennou-k.gfd-dennou.org/library/dcpam/sample/2014-08-30_momoko/Gray_MCA_Omega1.0_2/thum.htm)が, 帯状ジェットや大気上層の温度分布の特徴において I98 とはやや異なる結果が得られた. 要因としては, 水平解像度, 積分時間, 水蒸気の初期値の違いなどが考えられる. さらに, 両方の数値実験における灰色大気の設定は放射緩和時間が非常に長く, 大気上層の温度が決定するまでには積分時間が随分と足りていないことが後に分かってきた. ここでは, この二つの数値実験の結果の違いについて考えるために, 最近の DCPAM 5 を用いて, I98 の設定を想定した数値実験を実施する. また, 初期から統計的平衡状態に至るまでの長時間積分を行い, その中で水平解像度依存性や水蒸気の初期値依存性を調べる.

実験設定

主な設定

  • 解像度
    • T21L26 あるいは T42L26
  • 惑星パラメータ
    • 惑星半径, 自転角速度, 自転傾斜角は, 地球と同じ値を与える
  • 放射過程
    • 灰色大気放射(Nakajma et al. 1992)
      • 水蒸気による長波放射の吸収のみを考慮(吸収係数 0.01 m^2/kg)
    • 年平均・日平均した太陽放射フラックスを与える
  • 凝結過程
    • 対流調節(Manabe et al., 1965)
    • 大規模凝結(Manabe et al., 1965)
    • 雲なし(雲の寿命 0 秒)
  • 惑星表面条件
    • swamp ocean
  • 初期条件:
    • 静止等温大気(280 K)
    • 比湿: 0 kg/kg あるいは 1e-2 kg/kg
  • 積分時間
    • 30,000 日(スピンアップ run) + 10 年間積分
    • 統計的平衡状態の結果として, 最後の 10 年間の時間平均した場を示す.

実験シリーズ

  • CNTRL
    • T21L26, 初期の比湿 0, 水平粘性の微分の階数 4 次
    • namelist ファイル [初期値生成, 実行]
  • T42
    • T42L26, 初期の比湿 0, 水平粘性の微分の階数 4 次
    • namelist ファイル [初期値生成, 実行]
  • MOISTINIT
    • T21L26, 初期の比湿 1e-2, 水平粘性の微分の階数 4 次
    • namelist ファイル [初期値生成, 実行]
  • HDIFF8
    • T21L26, 初期の比湿 0, 水平粘性の微分の階数 8 次
    • namelist ファイル [初期値生成, 実行]
  • ソースコード

結果

各実験ケースの結果

まとめと考察

その他リンク