[ 地球流体電脳倶楽部 / dcrtm / SIGEN ]
- 倉本圭, 石渡正樹, はしもとじょーじ, 高橋芳幸. 高橋康人, 齊藤大晶, 大西将徳
* line by line 計算により, 水蒸気を含む大気の温度プロファイルを考察した.
- 対流混合している大気を仮定して, 放射計算を行い, 加熱率の分布から圏界面の位置を推定した.
- pure H2O 大気と, 混合大気(H2O + 非吸収気体) の場合を計算
- 混合大気の計算結果と考察
- 灰色大気に比べ, 非灰色大気のほうが加熱に転じる温度が低い.
- 灰色: 250 〜 200 [K], 非灰色: < 130 [K]
- 灰色大気の結果では, 圏界面の推定温度圧力をプロットすると, "逆L字型"に折れ曲がる.
- 地表面が見えるプロファイルでは折れ曲がる.
- 圧力軸にほぼ平衡にプロットされている点は, 射出限界で抑えられた点.
- 灰色大気の場合, 圏界面は光学的厚さが適当な位置で決まるので, 圏界面は混合比が大きいほど圧力が低く, 混合比が小さいほど圧力が高い. ただし, 混合比×大気圧=一定のラインからはずれる.
- 非灰色大気, 圧力が高いほど吸収スペクトルがつぶれ, 灰色大気に近くなる. そのため圏界面の位置は上空ほど温度が低く, 下層で温度が高い.
- 非灰色大気で見積もられた圏界面と灰色大気の圏界面とは同じように比較することはできない. 非灰色大気のOLR から見積もられる有効放射温度と圏界面温度を比較すると何か見えるかもしれない.
- 地球大気条件での考察
- 非吸収大気: 10^5 [Pa], 地表面温度: 300[K] のときの圏界面温度圧力は, 108[K], 1.5e+3[Pa]. 現在地球の圏界面よりかなり高度が高い.
- はしもとじょーじさんのオゾンなし計算では, 圏界面が25km 付近に計算されており, 整合的.
- 成層圏の H2O 量は圏界面が上昇することにより小さくなり, cold trap は強く効く.
- photochemistory が変わるか? CH4 との関係?
- 今後の方向性
- 放射対流平衡をまじめに計算して圏界面を決める.
- Kasting+1993, Kopparapu+2013は圏界面 200K 決めうち
- 光学的に薄い領域で圏界面を適当に決めても OLR は変わらないが, 成層圏の H2O 量は強く依存する.
- オゾンの有る無しで圏界面の温度が変わり, H2O 散逸の度合いも大きく異なることが予想される.
- 地球大気の場合, オゾンが無い場合には H2O は散逸しづらく, オゾンがはいると圏界面が下がり, H2O が散逸しやすくなることが考えられる.
- 冷たい成層圏と暖かい成層圏の多重平衡解が現れるかもしれない.
- 計算設定
- 太陽光あり(大気上端で太陽定数の半分, 天頂角で単位面積当たりに受ける量が半分になるようにする)
- N2 + H2O, O3 (, CO2)
- 地表面アルベド 0.2? (大気の散乱と合わせて 0.3 になるように)
- pure H2O 大気の計算結果と考察
- 加熱率が冷却から加熱に転じる温度圧力をプロットすると, 100 [Pa] を境に傾向が異なる
- 100 [Pa] より低圧領域では, 圏界面になっていて, プロファイルがポキッと折れるのでは?
- はしもとじょーじさんと net flux のプロファイル(0.27bar, 2000K)など見て検討した結果, プロファイルは折れずにほぼ adiabat のまま蒸気圧曲線にぶつかるのではないか? (実際計算しないと分からないが)
- Flux Convergence で見るのがよいのではないか.
- 100 [Pa] より高圧領域の加熱に転じる点は, 圏界面ではない?
- はしもとじょーじさんと 27bar 1000K の net flux を確認すると, 圏界面となっていてもよさそうな加熱率プロファイルになっている. ただし蒸気圧曲線にはどこかでぶつかりそうでもある.
- 27bar, 1500K の net flux をみると, こちらは放射平衡と adiabat が同じようなプロファイルとなっている?
- 加熱率が冷却から加熱に転じる点の分布をどのように解釈するかは, 簡単ではない.
- 放射平衡温度構造を求めてみないと, どのような温度構造になるか簡単には分からない.
- 暴走中, 暴走した後, 暴走前のダイアグラム.
- OLR のコンターと比べることで, 地表 H2O 量, 温度による, 暴走条件のダイアグラムが書ける.
- 8-12micron の大気の窓から見ることができる大気の深さは, 暴走しているときには 10^3 [Pa] 付近であり. 10^3[Pa] で蒸気圧曲線と交差する dry adiabat のプロファイルが暴走中と暴走後を分けるラインとなる.
- OLR から, 温度 profile がどの adiabat profile に乗っているかは推定できるが, 地表面温度とH2O 量の縮退は解けない. 地表面からの射出があるときに縮退とける.
- 波長の短い窓領域のバンドで見ることで, より深くの profile を推定することができる.
- 今後の方針
- H2O 混合大気の放射平衡計算を行い, 圏界面を決定する.
- mtg 資料
- 放射対流平衡温度構造を求めるために計算コストの削減を目指す
- テスト計算を行った.
- 波数解像度を 1 cm-1, 0.01 cm-1 の2種類で計算すると, 解像度が荒いほうがたくさん放射が抜ける.
- 解像度: 1cm-1, 波数領域: 2000cm-1まで, 鉛直総数: 500 層の計算で, 数日かかる
- 解像度を荒くしても, うまく計算できるようなモデルを検討している.
- Rossland mean と Planck mean を内挿する.
dcmodel Development Group / GFD Dennou Staff
Last Updated: 2015/02/02, Since: 2015/02/02