放射MTGメモ(2015/10/19)
参加者
- 倉本圭, 石渡雅樹, はしもとじょーじ, 高橋芳幸, 高橋康人, 齊藤大晶, 大西将徳
系外惑星放射計算プログラムの開発 (大西)
- 目的: 水蒸気混合大気について, 地表面温度によって対流圏界面の温度がどのようになるか明らかにする.
- 手法: 等温成層圏プロファイルの加熱冷却率プロファイルを line-by-line 放射伝達モデルによって計算し, 対流圏界面の温度を推定する.
- モデル, 計算設定:
- 組成: H2O (対流圏で飽和, 成層圏は対流圏界面の体積混合比)+ N2 (1bar)
- 中心星放射: 太陽光のスペクトル (Gueymard 2004), 但し太陽定数は大気上端での惑星放射につりあうように調整
- 地表面アルベド: 0.2 ( > 3000cm-1), 0 (0 - 3000cm-1)
- 地表面温度: 300, 320, 340, 350, 360 [K]
- 結果:
- 1. 地表面温度によって低温成層圏と高温成層圏が現れる.
- 2. どの地表面温度 (300 〜 360K) でも120K 以下の低温成層圏が存在.
- 3. 350K 以上では180 〜 200K 程度の高温成層圏が存在.
- 4. water loss limit の閾値となる成層圏の水蒸気混合比 (3e-3) を超えるのは地表面温度が 350K 以上のとき.
- 5. 地表面温度が 320K のときに大気上端からの惑星放射は最大となり, 地表面温度が 320K 以上で暴走温室状態.
- 6. 暴走温室限界と water loss limit は結果的に中心星から同じ距離 (0.99AU) に現れる.
- 議論, コメントなど
- effective solar flux が地表面温度 300K で極大を持つことから, 地表面温度 300K 以上で暴走温室状態になる.
- 暴走温室状態になっても, 低温成層圏が維持されれば H2O は散逸しにくい. 地表面温度が上昇すると圏界面が上昇するので対流圏が宇宙まで開いてしまう?
- background 大気の量によって水の散逸し易さはかわる.
- 現在 background 1 bar の計算を行っている.
- 10 bar の計算も行う.
- background 大気が少ない極限として, pure H2O 大気の計算も行う.
- 低温成層圏, 高温成層圏の物理的な説明が必要.
- mtg 資料
木星大気の放射計算(高橋康)
- モデル計算結果のアルベドが観測値に比べて高いことへの対処
- 現状のモデルでは, 雲なしモデルでも観測結果よりアルベドが大きい.
- 検討すべき項目
- 日射の角度によるアルベドの変化
- ラマン散乱, 未導入の CH4 吸収, ヘイズ・エアロゾルなどの導入
- スケジュールとの兼ね合いで, どの項目を優先するか考えるべき
- CH4 のバンド吸収は入れた方がよいのでは?
- 雲の一次散乱アルベドを変えることで, ヘイズの効果を取り込むという手もある?
- アルベドはモデルと観測値で異なるが, 成層圏の加熱率はモデルと観測値でよくあっている.
- なぜ合っているのかはわからない.
- ヘイズは成層圏にあるといわれている. モデルにヘイズを導入した場合, 加熱も冷却も大きくなって結果的に加熱率プロファイルは変わらないこともある.
- 成層圏の加熱率プロファイルについて議論している論文 (Appleby & Hogan) を確認する.
- ガリレオ, ヴォイジャーの観測条件(天頂角など), 放射の時定数が自転に比べて長いかなどを確認する.
- Letter 執筆
- ApJL に投稿予定. DPS meeting までに submit する.
- DPS meeting
- 11/7 - 11/14
- 博士論文, 学位申請
- 予備審: 12 月中旬
- 研究の位置づけを明確にする (先行研究をレビューする)
次回の日程
- 10/26 (月) 9:00-