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/2005-03-09/
科学哲学のほんとうの問題 1
戸田山和久(名大・情報科学)
2005 年 3 月 10 日
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タイトルぺージ
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「哲学的宇宙論」とは?
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古代インドの宇宙観
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古代インドの宇宙観のペーパークラフト
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哲学者が関心をもつ宇宙(論)
- ほんとうの(?)科学と疑似科学との違いは何か? を調べる.
- 「宇宙を知る活動」が含まれる宇宙
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「可能な宇宙」の問題
- CTC: Closed Timelike Curve (?)
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「宇宙を知る」という活動が含まれる宇宙
- 哲学的に真面目に考えると?
- 科学哲学のありように改変を迫るものか?
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科学と科学哲学
- 科学: 宇宙「全体」を「まるごと」知りたい
- 科学哲学: 科学「全体」を「まるごと」知りたい
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「科学の科学」
- 科学: 「知る」という活動に長けている
- 科学の発生は必然か偶然か?
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「科学の科学」における哲学の役割
- 「科学の科学」の母胎
- 健全な科学の出発を見送る
- 物理学はかつて哲学と一体,
- 計算主義: AI, 人工知能
- 数学基礎論: 数学的理解, 記述の考察
- 粒子論哲学: 原子論の一つの源
- Science as an elephant
- 「群盲像をなでる」
- 「科学についての科学」をつなげる
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3 つの基本的な態度
対立する考え方
- 観念論:
- 相対主義: 科学は世界を知るための一つの方法にすぎない
- 基礎づけ主義
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対立する考え方
- 観念論:
- 相対主義:
- 基礎づけ主義: デカルト, 「なぜ数学が自然科学の探求に有効であるのか?」
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自然主義について
- 基礎づけ主義: 科学と哲学の分化に対し, 科学に対する哲学の優位性を示す試み
- 「哲学的方法」は人によって異なる
- これは科学における「方法」とは質的に異なっている. 「方法」と呼べるのか?
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自然主義について
- 科学哲学の testability を最初に唱えたのはクーン.
- 科学哲学がフィールドをもつこと
- 単に哲学の世界に埋没してはいけない
- ある特定の科学分野をフィールドとすることで, その分野の常識に染まってしまう可能性はある. 科学全体を科学するという目的に反するかもしれない.
- ある程度具体的な科学の姿を知らなければ「科学を科学」することはできない, という立場に立つ
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ラディカルに自然化された科学哲学
- resource の有限性: 能力, 人数, 時間,
- computational capacity の問題例: クワイン(Quine)の科学哲学(全体論)
- あとづけの説明にみえる, まじめに検討すると膨大な計算量になる.
- scientific rationality: 必ずしも個々の科学者がいつも合理的な手段を選択しているわけではないが, 全体としては科学としての目標を到達されているのはなぜか?
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科学社会学:
- なぜ科学的知見は客観的知識をもたらすのか? という問い.
- 科学の客観性の問い: エスト・ノルム説
- 得られた知識は普遍的
- 知識は共有できる
- 探求の目標は私利私欲に基づかない
- 反権威主義: 権威に左右されない
- 実際にはこれらに反する事例が多い
ほんとうに問うべきものは?
- 個人のレベルではエスト・ノルム論は違反しているが, 科学コミュニティ全体では成り立っているように見える. なぜか?
- sworm: 蟻, 個々は合理的ではないが全体としてが合理的
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「おとな」の哲学の課題
- 常識の依拠するところのものを探る
- 「哲学はかっこいい」
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「おとな」の哲学の課題
- 常識の依拠するところのものを探る
- 「哲学はかっこいい」とひけらかすのは「こどもの哲学」
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反常識は哲学?
- ソーカル(右)による「偽」論文の投稿事件 (1996 年)
- 物理学者による根拠のない論文(パロディ)が科学論の雑誌に掲載されてしまった.
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目次
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科学的実在論とは?
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いくつかの立場の整理
- 観念論にも程度がある: 秩序の存在だけは独立に存在しえないとする立場もある.
- 黒抜きのマトリクスの立場はありえない(意味がない)ので考えない.
- 反実在論と観念論はよく混同される.
- 観念論はより哲学的, 科学的実在論の立場からやっつけても虚しい.
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科学的実在論の「哲学的」擁護が難しいわけ
以下が困難
- 科学的方法の定式化
- 科学的知識の正当化基準の正当化 (meta-justification)
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科学的知識の正当化基準
- 人が神ではないがゆえに必要な基準, 規範
- 社会的分業: ある人によって得られた知見の正当化は別の人が行う,
これを相互に行う.
- hypothetical: なんらかの目的, 理由のために必要な規範
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meta-justification の困難
- 科学的方法をとることが世界のありように漸近していることを知ることは困難
- 科学的方法でしか世界のありようを知り得ないから
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基礎づけ主義的立場で meta-justification を行うとどうなるか?
- 基礎づけ主義: 科学が出発する前に科学的方法を事前に決めておく立場
- 観念論に逃避しがち
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Meta-justification の問題を乗り越えるためには?:
観念論に陥らないためには?
- 基礎づけ主義的立場を捨てる
- すでに科学は始まっていることを認める(自然主義的立場)
- meta-justification 自体が科学的方法のなかに存在する
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社会構成主義と反実在論に共通の前提
- underdetermination: 決定不全性, 過小決定,
- 仮説を 1 つだけとりあげて検証することは困難, その他の無数の仮説を暗に用いていることが多い.
- 理論の underdetermination: 理論において予言が重要視されるわけ
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underdetermination からどのような帰結を導くか?
観察データから理論を 1 つに決めることができないときにどうするか?
- 反実在論者: 決まらないかわらからないとする
- 社会構成主義者: 社会的によってのみ 1 つに決まるとする
- 科学的実在論者: 合理的基準によって 1 つに決まるとする
実際の科学は?
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科学的実在論者のできることは?
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Odaka Masatsugu
2005-03-10
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