水惑星設定における軸対称な風成循環の数値実験: 計算結果 ~ 解像度依存性

目次

1 計算結果

1.1 水平解像度依存性(ケース Kh800T42L60, Kh800T85L60, Kh800T170L60)

  • 東西流の比較
    • 海面分布
      表1: 海面東西流[m]の時間発展(左から順に Kh800T42L60, Kh800T85L60, Kh800T170L60) .
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      • 水平解像度が高いほど, 赤道近傍における西向きの流れは強く, 狭くなる.
      • 赤道近傍以外では, 海面の東西流速の構造は T42 の水平解像度で収束する.
    • 子午面分布
      表2: 東西流[m]の子午面分布(左から順に Kh800T42L60, Kh800T85L60, Kh800T170L60) .
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      • 内部領域における東西流の構造は, T42 の水平解像度で収束する.
      • 赤道近傍の表層における西向きの流れの鉛直構造は, 水平解像度に依存する.
  • 子午面循環の比較
    表3: t=300 yr の質量流線関数[kg*m2/s]の子午面分布(左から順に Kh800T42L60, Kh800T85L60, Kh800T170L60) の比較. .
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    • 赤道近傍以外の子午面循環の構造は, T42 の水平解像度で収束する.
    • 赤道湧昇流と対応した赤道近傍の局所的な循環セルは, 水平解像度に強く依存する.
      • 解像度が高くなるほど, 狭く強くなる.
      • T170 では, 赤道域の局所的な構造により数値的に生じるノイズが顕著で, 10000 日以後は赤道から離れた場所の子午面循環の構造を乱す.
  • 運動エネルギーの全球平均値, 収支の時間発展
    表4: 運動エネルギー[m2/(s2*kg) ] の全球平均値の時間発展(破線:Kh800T42L60, 実線:Kh800T85L60, 点線:Kh800T170L60)の比較.
    KEAvg_HCompari_thumb.png
    • 水平解像度が高いほど極値は大きくなるが, T85 と T170 の間で違いはない.
表5: 運動エネルギーの全球平均値の収支解析(左から順に Kh800T42L60, Kh800T85L60, Kh800T170L60) の比較. 各図において, 破線:運動エネルギーの注入率, 実線:正味の変化率, 二点跳び破線:水平渦粘性による散逸, 跳び破線:移流項の仕事, 一点破線:ポテンシャルエネルギーへの変換, 点線:鉛直渦粘性による散逸を表す.
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  • 温位の比較
    表6: t=300yr における温位[K]の子午面分布の比較..
    yz_PTemp_mplane_300yr_thumb.png yz_PTemp_mplane_300yr_thumb.png yz_PTemp_mplane_300yr_thumb.png
    表7: 海面における温位[K]の時間発展の比較..
    tz_PTemp_SeaSurf_thumb.png tz_PTemp_SeaSurf_thumb.png tz_PTemp_SeaSurf_thumb.png
    • T42,T85,T170 の間で大きな違いは見られない.

1.2 鉛直解像度依存性(ケース Kh800T85L40, Kh800T85L60, Kh800T85L80)

風成循環計算における Chebyshev 多項式展開についての考察1から予期されるように, 本パラメータ設定では鉛直格子点が 60 点程度あれば, 鉛直方向の解の構造は収束する.

  • 東西流の比較
    • 海面分布
      表8: 海面東西流[m]の時間発展(左から順に Kh800T85L40, Kh800T85L60, Kh800T85L80) .
      xy_U_SeaSurf_thumb.png xy_U_SeaSurf_thumb.png xy_U_SeaSurf_thumb.png
  • 子午面分布
    表9: 東西流[m]の子午面分布(左から順に Kh800T85L40, Kh800T85L60, Kh800T85L80) .
    yz_U_mplane_thumb.png yz_U_mplane_thumb.png yz_U_mplane_thumb.png
  • 子午面循環の比較
    表10: t=300 yr の質量流線関数[kg*m2/s]の子午面分布(左から順に Kh800T85L40, Kh800T85L60, Kh800T85L80) の比較. .
    yz_MassStreamFunc_mplane_thumb.png yz_MassStreamFunc_mplane_thumb.png yz_MassStreamFunc_mplane_thumb.png
    • L40 では鉛直方向のギブス振動が残るが, 上下端の境界層を解像できる L60,L80 の場合では発生しない.
  • 運動エネルギーの全球平均値, 収支の時間発展の比較
    表11: 運動エネルギー[m2/(s2*kg) ] の全球平均値の時間発展(破線:Kh800T85L40, 実線:Kh800T85L60, 点線:Kh800T85L80)の比較.
    KEAvg_LCompari_thumb.png
    • L40 の運動エネルギーは, L60,L80 よりも約0.1倍大きい(ちなみに, L20 は約2倍大きい).
表12: 運動エネルギーの全球平均値の収支解析(左から順に Kh800T85L40, Kh800T85L60, Kh800T85L80) の比較. 各図において, 破線:運動エネルギーの注入率, 実線:正味の変化率, 二点跳び破線:水平渦粘性による散逸, 跳び破線:移流項の仕事, 一点破線:ポテンシャルエネルギーへの変換, 点線:鉛直渦粘性による散逸を表す.
KEBudget_thumb.png KEBudget_thumb.png KEBudget_thumb.png
  • 温位の比較
    表13: t=300yr における温位[K]の子午面分布の比較..
    yz_PTemp_mplane_300yr_thumb.png yz_PTemp_mplane_300yr_thumb.png yz_PTemp_mplane_300yr_thumb.png
    表14: 海面における温位[K]の時間発展の比較..
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    • L40,L60,L80 の間で大きな違いは見られない.

脚注:

著者: Kawai Yuta

Created: 2014-04-23 水 02:33

Emacs 23.4.1 (Org mode 8.2.4)

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