各海水の状態方程式から求めた密度のグラフ
目次
1 海水の密度の特徴
- 密度の温度・塩分依存性について
- 海洋の密度変化は, 主に温度変化によって生じる.
- 海洋全体で存在する温度・塩分範囲は -2~30 [degC], 0~40[psu] であるが,
約 9 割の海水は, 温度 -2~10 [degC], 塩分 33.5~35 [psu] の狭い範囲にある.
- 塩分範囲は温度範囲よりも相対的に狭い.
- 例外: 表層の水(蒸発より降水が多い場合や氷の融解によって淡水化する).
- 海洋全体で存在する温度・塩分範囲は -2~30 [degC], 0~40[psu] であるが,
約 9 割の海水は, 温度 -2~10 [degC], 塩分 33.5~35 [psu] の狭い範囲にある.
- 状態方程式の非線形性により, ある温度・塩分における密度変化は, その温度や塩分によって異なる.
- 高温域では, 全ての塩分において, 密度は温度の増加とともに急激に減少する.
- 低温域では, 特に低塩分において, 温度の増加による密度の減少は小さくなる.
- 純水の密度は, 4[deg C] ぐらいで最大となる特性1に起因する.
- 海洋の密度変化は, 主に温度変化によって生じる.
2 海水の密度のグラフ
以下のグラフでは, それぞれの海水の状態方程式から求めた密度の偏差(実際の密度 - 1000 kg m-3) \(\sigma\) を示している.
2.2 線形近似した海水の状態方程式[Vallis]
- 密度は, [Vallis] の (1.156) (ただし, 第二熱膨張率 \(\beta_T^*\) と熱圧パラメータ関係した量 \(\gamma^*\) をゼロにする)から求める.
- 密度の温度, 塩分, 圧力の依存性が線形近似によって表現される.
- JM95 の海水の状態方程式との相対誤差の二乗平均平方根は, 0.31 % .
- 圧力固定(横軸: 塩分, 縦軸: 温位)
- 温位固定(横軸: 塩分, 縦軸: 圧力)
- 塩分固定(横軸: 温位, 縦軸: 圧力)
3 参考文献, 参考リンク
References
[de Szoeke(2004)] | R. A. de Szoeke. An effect of the thermobaric nonlinearity of the equation of state: A mechanism for sustaining solitary rossby waves. Journal of physical oceanography, 340 (9), 2004. [ bib ] |
[Jackett and McDougall(1995)] | D. R. Jackett and T. J. McDougall. Minimal adjustment of hydrographic profiles to achieve static stability. Journal of Atmospheric and Oceanic Technology, 120 (2):0 381-389, 1995. [ bib ] |
[Vallis(2006)] | G. K. Vallis. Atmospheric and oceanic fluid dynamics: fundamentals and large-scale circulation. Cambridge University Press, 2006. [ bib ] |
脚注:
1
極性分子である水分子は, 水素結合により鎖構造を作る性質がある. 融点から4度ぐらいまでの温度をもつ水を加熱するとき, そのエネルギーは鎖構造の形成に用いられる. この際, 体積は減少するので密度は増加する. しかし, 4 度以上の温度をもつ水を加熱すると, 水分子の鎖構造は破壊されるため, 体積は増加し密度は減少する. 水に塩分が加わるにつれて, 水に特有なこの密度の性質が失われる.