(様式5−12)
平成10年度計算科学技術活用型特定研究開発推進事業
(短期集中型)研究開発終了報告書
科学技術振興事業団
理事長 川崎 雅弘 殿
研究開発課題 地球惑星流体現象を念頭においた
多次元数値データの構造化
提出年月日 平成12年4月28日
代表研究者氏名 林 祥介 印
(所属、役職) 北海道大学大学院理学研究科・教授
1.研究開発課題名
地球惑星流体現象を念頭においた多次元数値データの構造化
2.概要
地球や惑星の流体現象(大気や海洋の動的諸現象)の観測解析や数値計算において現われる多次元数値データを念頭に、数値データのオブジェクト指向な構造化処方をさぐり、既存資源をベースにした Fortran 90 レベルでのデータ処理ライブラリの再設計と実装、そして、オブジェクト指向型スクリプト言語での実装にむけて様々な実験を行った。
3.研究開発実施内容
地球惑星流体現象にまつわるデータの問題は、
· 大規模、すなわち、サイズが大きい、あるいは、数が多い、
· 多様、すなわち、個人、グループ、プロジェクトなどの生産元ごとにデータの形式構造が異なっている、
という二点にまとめることができる。これに対して我々は、標準データ構造と対応した処理手法を提案することにより、データの加工交換を容易にし問題考察能力を高めようというわけである。このような目的においてデータの構造に要求される性質は、
· ネットワーク透過性の確保、すなわち、機種/OS 非依存のバイナリデータであること、
· 自己記述なデータ構造とデータ処理、すなわち、データ自身がその中身を語ってくれる自己記述性とデータ自身がどう処理して欲しいか語ってくれるオブジェクト指向であること、
の二点である。ひとことで言えば、「クリック一発で絵が書ける数値データ」を目指すことと言えよう。
本開発研究は、参加メンバーの多く、ならびに、その関係者が、地球流体電脳倶楽部(http://www.gfd-dennou.org/)としてこれまで共同開発してきた資源を基盤にして行われた。既存資源を題材とした問題点の整理・検討からはじめて、地球・惑星科学分野での多次元数値データがもつべき構造に関する考察をおこない、その実装実験へとつなげることにしたのである。出発点とした資源は、DCLとGTOOL である。DCL は大型計算機とパソコンの双方で同じ表示系を利用するべく開発が始まった FORTRAN 77 ベースの可視化ツールである。GTOOL はやはり我々の開発して来た数値モデル群(大気大循環モデル AGCM5 等) のデータ I/O とデータの表示用に設計されたもので、FORTRAN 77 ベースのデータ構造とその処理ツール群の総称名称であり、可視化系としては DCL を用いているものである。
多次元数値データに対してわれわれが行った具体的なアプローチは
· データの構造の設計
· データの処理手順の考察と実装
· データの可視化ツールの整備
の三つの層からなる。データの構造の設計とは、日々行われているデータの処理と表示を念頭において、地球惑星流体データは何を語るべきかを属性リストの形で整理することである。データの処理手順の考察と実装とは、そのようなデータを具体的に日々どのように加工処理しているかの整理であり、それを適当なプログラム言語をもちいて計算処理可能にすることである。オブジェクト指向パラダイムではデータ構造とデータの処理とは同時に扱うことのできる問題となるが、既存の数値計算で用いられている Fortran や C での実装をも考慮すると、データの構造的記述がデータ処理と切り分けられるようになっていなければならない。データの可視化ツールの整備とは、文字通り表示系を用意することであり、研究教育現場で自由に使い、流通させうる資源を整備確保することが我々の目的のひとつでもある。
これらの各層に対して、
· Fortran 90 または C を用いた、地球・惑星科学分野での既存パラダイム上でのデータ処理系の整備、
· オブジェクト指向言語 Rubyを用いた、地球・惑星科学分野における新しいパラダイムとしてのデータ処理の試み、
の二つの方向から実装あるいは実験を行い、次の 4 つのパッケージとして整理した:
· gtool4 netCDF 規約:機種/OS 依存しないバイナリファイル形式として netCDF を採用、その上での規約としてデータ構造を整理。
· gtool4 F90 ライブラリ:F90 による gtool4 netCDF 規約データ処理ライブラリ。
· DCL:研究教育現場で自由に配布できる無償な可視化資源の確保のため既存資源の整備。
· Ruby サンプルプログラム群:オブジェクト指向なデータ処理の試み。
4.題目別実施内容
(1) 新しいGTOOLの設計(林祥介)
(a) データ構造の抽象的設計(林祥介、豊田英司、石渡正樹)
· 地球惑星現象に関連したデータが自己記述するべき属性リストの作成を目指して、数回のワークショップの開催を行った。
· 属性リストは、具体的なソフトウェアや計算機上でのデータ表現方法の詳細には依存しない抽象データとして検討することが望ましい。研究教育現場においてデータをどのように加工・可視化しているかという我々の日常作業の洗い出しを試みた。
(2) 既存DCL・GTOOLの再整理と問題検討(酒井敏)
(a) 可視化系の整理・固定: DCL-5.1 (酒井敏、飯沢功、川口明彦、水田亮、高橋憲義、乙部直人、塩谷雅人)
· DCL の問題点を洗い出しと改善を行いライブラリとして固定、マニュアルの整備をおこない、DCL-5.1として公開した。
· さらに、Fortran 90 インターフェースを作成した。
· ついで、c化への手順の確立とf2cを利用したcライブラリの作成を行った。
(b) バイナリファイル形式の選択 netCDF 形式(赤堀浩司)
1. 具体的実装のためのデータ格納形式として netCDF 形式を選ぶことにした。netCDF(network Common Data Form)は多次元配列型のデータを格納する形式とそれを操作するためのインターフェースソフトウェア群である。インターフェースが実装された計算機間においては netCDF 形式バイナリデータをネットワーク等により転送し直接読みだすことができる。netCDF 形式はファイルの中に任意個の変数(多次元の配列)を定義することと、ファイルや変数に任意個の属性を付与することをサポートする。
(c) gtool4 netCDF 規約の作成 (石渡正樹、豊田英司、竹広真一)
2. netCDF 上の規約としてデータ構造の定式化を行った。ここでは, 我々の過去の資源であるGTOOL3 での経験と netCDF 形式上での既存規約である GDT、COARDS、CSM を参照して、我々目的に応じた規約(netCDFgtool4 規約)の構築を行った. gtool4 規約は既存netCDF規約の上位互換としながら、特に可視化に関する属性の補強を試みた。
(d) オブジェクト指向スクリプト言語 Ruby の選択(塩谷雅人)
3. オブジェクト指向スクリプト言語としては日本製のそれである Rubyを選択した。当初、欧米ですでに流通している Python を用いる計画であったが、Ruby のほうがより純粋にオブジェクト指向であり、かつ、言語製作者が国内にいるのでより緊密な連係がとれるであろうとの判断である。
(e) 米国での経験(B. Boville)
4. NCAR における netCDF の動向、ならびに、CSM(climate system model)における実装経験にもとづく今後の展望など、米国での状況を中心に意見交換を行うセミナー、ワークショップを開催した。
(3) 新しいGTOOLに向けたデータ構造の設計(観測データ)(塩谷雅人)
(a) 不定型データ構造の考察(塩谷雅人、沼口敦)
5. 気象ゾンデや衛星データなどを念頭においた観測系生データを格納し自己記述可能にするための属性の検討をおこなった。
6. 時空間的に不定型散乱したデータをどのように格納し、可視化情報として何をもっておくべきかの整理を試みた。
(b) netCDF 規約上の無矛盾な実装(豊田英司)
· 時空間的に不定型データの分類整理は現時点では完全ではなく、gtool4 netCDF 規約上において、期待される不定型なデータを包含可能にするような拡張可能性を確保するにとどめた。
(4) 新しいGTOOLに向けたデータ構造の設計(値計算データ)(山田道夫)
(a) 定型データ構造の実装面の考察 (山田道夫、石岡圭一、一井信吾、芦野俊宏、七丈直弘)
· F90 での実装、および Ruby での実装にむかうべく、数値計算等によって生成される定型データを実装する上で何を注意すべきか、GTOOL3 での F77 での経験、他分野での経験を参照するべく、ワークショップを開き検討を行った。
(5) 新しいGTOOLのプログラム実装実験(余田成男)
(a) gtool4 library 実装 (石渡正樹、中島健介、豊田英司)
· AGCM5 出力を例題に選び、GTOOL3 を後継するべく gtool4 netCDF 規約に従ったデータを処理(生成加工)するソフトウェア群、gtool4 Fortran 90 library の設計と実装を行った。
· データの可視化に関しては、gtool4 netCDF 規約にしたがったデータに対し DCL Fortran 90 インターフェースを通して可視化することに、教育資源としても耐えられるフリーな環境提供を保証した。既存の商用可視化ソフトウェアである AVS や IDL を用いても、そのスクリプトソフトウェア群を作成し gtool4 netCDF 規約を解釈させれば可視化可能あるが、現時点では必要ユーティリティーの整備は行っていない。
(b) gtool4 Fortran90 library による数値計算データの処理(余田成男、石渡正樹、 中島健介、豊田英司、竹広真一、石岡圭一)
· 現時点においては AGCM5 の I/O を gtool4 に置きかえるところまでは行っていない。GTOOL3 から gtool4 へのファイル変換ルーチンの作成は完了した。
(c) Ruby サンプルプログラム群(塩谷雅人、沼口敦、堀之内武、後藤謙太郎、高木征弘、北村祐二)
· Ruby による実装実験を行い、サンプルプログラム集を作成した。データ構造は gtool4 netCDF 規約を Ruby スクリプトとして格納するものである。
· NetCDF 形式ファイルとの I/O を整備し、ネットワーク透過なデータ転送が可能となるようにした。
· データの処理を Ruby 上の演算で行えるようにするべく、多次元数値配列を操作するためのクラスライブラリを作成した。
· データ可視化に関して、Ruby から DCL C インターフェースを呼び出す方式についても実装例を作成した。
5.全体の総括と今後の課題
本開発研究参加メンバーの多くは、DCL、GTOOL3、AGCM5 等の既存資源開発に関わって来た地球流体電脳倶楽部主要関係者であり、全国 4 箇所の大学(北大・東大・京大・九大)を拠点としてネットワーク上に分散して活動している。資源開発者自身が日々の研究教育活動においてそれを必要としている利用者でもあり、本研究グループ構成メンバーは同時に
モニタ利用者としての役割をもになっている。これらが本開発研究グループの特徴、あるいは、特殊性といえる。
地球・惑星の流体現象を念頭においた数値データの抽象的な構造の検討に関しては、本研究において大きく考察を進めることができたと考えている。これまで当該分野においては自己記述性を持ったデータ構造の設計が非常に遅れていた。データがあまりに巨大であることが多く、データの形式はそのつどオーダーメードであらざるを得なかったからである。しかるに、計算機資源が大幅に拡充され、かつ、ネットワークを介して大量のデータがやり取りされる今日、データの自己記述性は非常に重要である。そのような状況において我々の今回の開発研究活動は当該分野における応用情報科学的活動を活性化する役割を担うことができたと自負している。
データ構造においては、数値データとその可視化情報の統合をおおきな柱のひとつとした。データが自己記述するという問題は、データが何であるかというラベル的な情報にとどまるものではない。可視化情報という、データにたずさわった専門家や個々人がデータをどう捕らえているのかという視点にまで踏み込む形でとらえねばならないのである。これは、当該分野のこれまでの知見を電子化するというよりインテリジェントな情報化にむけての必要なとりくみのひとつであろう。
残念ながら、現時点では、観測データのように不規則格子データ・ベクトル的な場・座標表現への対応は不十分である。また、可視化を想定した属性は 2 次元的作図のみを考慮したものでしかなく 3 次元化が急務である。データの処理に関しては、Fortran90 においても Ruby においても我々が必要としている諸演算がまだ適宜実装されていない。今後の課題として残されている。
本研究においてもっとも進展させることのできた問題はDCLの整備である。とくにマニュアルを整備しFortran90インターフェースおよびCライブラリを整理することができ、これまでの我々の活動の懸案が解決した。研究教育現場での提供のしやすさが大幅に改善されると同時に、gtool4ライブラリおよびRubyスクリプトへの容易な組み込みが可能となった。
オブジェクト指向スクリプト言語Rubyをもちいての記述実験は、Rubyによって柔軟で軽快なデータ解析環境が提供される可能性をわれわれに説得するに十分な成果をあげた。非常にたやすくIDLのような多機能性と対話性を提供するツールが設計でき、netCDF のようなデータフォーマットをも容易に扱うことができそうである。Ruby を用いた実装における現状の問題点は Ruby コミュニティーにおいて数値処理の経験が少ないことにある。スーパーコンピュータ上への効率良い実装、巨大データに対する実装も問題となっている。
Rubyと同種のスクリプト言語に Python があるが、Ruby のほうがオブジェクト指向スクリプト言語として設計思想が一貫している。しかも、開発者が日本の人々であるので開発グループと日本語で直接的なコミュニケーションをとれるという非常に大きなメリットがある。今回のわれわれの研究活動から端を発して、Rubyの math グループが立ち上がり、多次元配列を扱う ruby の仕様決定が進められつつある。このグループの活動とに期待し、Ruby が発展すること大きく期待するものである。
本開発研究においては米国NCARのB.Boville の協力を要請できたことが我々の活動には非常に刺激となった。現在、NetCDF は米国においてその下部構造を HDF に統合し並列計算機に化対応することが計画されている。今後並列計算機とのデータの交換が盛んになると思われるのでこの方向の展開も期待される。
参考 URL
COARDS http://ferret.wrc.noaa.gov/noaa_coop/coop_cdf_profile.html
CSM http://www.cgd.ucar.edu/cms/eaton/netcdf/NCAR-CSM.html
DCL http://www.gfd-dennou.org/arch/dcl
GDT http://www-pcmdi.llnl.gov/drach/GDT_convention.html
GTOOL3 http://www.gfd-dennou.org/arch/gtool
HDF http://hdf.ncsa.uiuc.edu/
netCDF http://www.unidata.ucar.edu/packages/netcdf
Ruby http://www.ruby-lang.org/
なお, 本開発研究でのプロダクトは地球流体電脳倶楽部サーバー上の公開領域
http://www.gfd-dennou.org/arch/davis/
から適宜たどれるようになっている。
6.研究開発実施体制
代表研究者氏名 林祥介
所属・役職 北海道大学理学研究科・教授
(1) 新しいGTOOLの設計
A.参加研究者氏名、所属、役職、研究開発項目
林祥介、北海道大学理学研究科地球惑星科学専攻、教授
統括、抽象データ構造の提案
豊田英二、北海道大学理学研究科地球惑星科学専攻、大学院生
抽象データ構造の設計
B.研究協力者名氏名、所属、役職、研究開発項目
石渡正樹、北海道大学大学院地球環境科学研究科、助手
抽象データ構造の設計
(2) 既存DCL・GTOOLの再整理と問題検討
B.研究協力者名氏名、所属、役職、研究開発項目
酒井敏、京都大学総合人間学部、助教授
DCL 関係資源再整理統括、DCL の整備、プログラム構造の検討、
ドキュメント構造の検討
飯沢功、京都大学総合人間学部、大学院生
DCL の整備、プログラム構造の検討、ドキュメント構造の検討
川口明彦、京都大学総合人間学部、大学院生
DCL の整備, プログラム構造の検討, ドキュメント構造の検討
水田亮、京都大学大学院理学研究科、大学院生
DCL の整備、プログラム構造の検討、ドキュメント構造の検討
高橋憲義、京都大学大学院理学研究科、大学院生
DCL の整備、プログラム構造の検討、ドキュメント構造の検討
乙部直人、福岡大学理学部地球圏科学科、助手
DCL の整備、プログラム構造の検討、ドキュメント構造の検討
塩谷雅人、北海道大学大学院地球環境科学研究科、教授
DCL ソース c 化の統括、オブジェクト指向言語の選択
赤堀浩司、名古屋大学大学院工学研究科、博士研究員
既存 netCDF 諸規約の調査
沼口敦、北海道大学大学院地球環境科学研究科、助教授
gtool3 問題点の解析
堀之内武、京都大学超高層電波研究センター、助手
IDL, AVS での問題掌握
石渡正樹、北海道大学大学院地球環境科学研究科、助手
gtool3 問題点の解析、gtool4 netCDF convention 設計
豊田英二、北海道大学理学研究科地球惑星科学専攻、大学院生
gtool3 問題点の解析、gtool4 netCDF convention 設計
竹広真一、九州大学理学研究科、助手
gtool3 問題点の解析
C.招聘研究協力者氏名、所属、役職、招聘の目的、滞在先、滞在期間
Byron Boville、National Center for Atmospheric Research、
Head of Climate Modeling Section、
多次元データの構造化についての意見交換、特に、NCAR および 米国(特に気象関係)における諸状況についてのレビュー、
2000年1月11日〜18日
(3) 新しいGTOOLに向けたデータ構造の設計(観測データ)
B.研究協力者名氏名、所属、役職、研究開発項目
塩谷雅人、北海道大学大学院地球環境科学研究科、教授
資源再整理統括、格子点データに関する調査検討、属性設計
沼口敦、北海道大学大学院地球環境科学研究科、助教授
非格子点データに関する調査検討、属性設計
堀之内武、京都大学超高層電波研究センター、助手
非格子点データに関する調査検討、属性設計
豊田英二、北海道大学理学研究科地球惑星科学専攻、大学院生、
gtool4 netCDF規約の設計
(4) 新しいGTOOLに向けたデータ構造の設計(値計算データ)
B.研究協力者名氏名、所属、役職、研究開発項目
山田道夫、東京大学大学院数理科学研究科、教授
数値計算データとして持つべき属性の検討
一井信吾、東京大学大学院数理科学研究科、助教授
計算機科学的視点からの設計
芦野俊宏、東京大学人工物工学研究センター、講師
材料工学で得られた知見の応用
七丈直弘、東京大学人工物工学研究センター、博士研究員
材料工学で得られた知見の応用
(5) 新しいGTOOLのプログラム実装実験
B.研究協力者名氏名、所属、役職、研究開発項目
余田成男、京都大学大学院理学研究科、助教授
gtool4 から Ruby への評価
塩谷雅人、北海道大学大学院地球環境科学研究科、教授
Ruby による実装実験統括
沼口敦、北海道大学大学院地球環境科学研究科、助教授
Ruby による実装, DCL への接続検討
堀之内武、京都大学超高層電波研究センター、助手
Ruby による実装
後藤謙太郎、北海道大学理学研究科、大学院生
Ruby 数学関係ライブラリの整備
高木征弘、東京大学理学系研究科、大学院生
Ruby 実装テスト
北村祐二、東京大学理学系研究科、大学院生
Ruby 実装テスト
石渡正樹、北海道大学大学院地球環境科学研究科、助手
gtool4 Fortran90 library 設計統括
中島健介、九州大学理学研究科、助手
gtool4 Fortran90 library 設計
豊田英二、北海道大学理学研究科地球惑星科学専攻、大学院生
gtool4 Fortran90 library 設計, 実装
竹広真一、九州大学理学研究科、助手
gtool4 Fortran90 library 設計, 実装テスト
石岡圭一、東京大学大学院数理科学研究科、助教授
gtool4 Fortran90 library 設計, 実装テスト
7.本事業により得られた研究成果
(1) 外部発表等
(a) 原著論文
なし
(b) 口頭発表
豊田英司、石渡正樹、林祥介、堀之内武、赤堀浩司、沼口敦、
地球流体電脳倶楽部 davis project
多次元数値データの自己記述的格納形式 gtool4 の開発
日本気象学会春季大会
2000 年 5 月 24 日、つくば
地2発1
豊田英司、石渡正樹、林祥介、堀之内武、赤堀浩司、沼口敦、
地球流体電脳倶楽部 davis project
多次元数値データの自己記述的格納形式 gtool4 の開発
地球惑星科学関連学会合同大会、セッションAe
2000 年 6 月 26 日、東京代々木
地2発2
後藤謙太郎、塩谷雅人、沼口敦、堀之内武、高橋千賀子、林祥介
RubyによるDCL拡張
地球惑星科学関連学会合同大会、セッションAe
2000 年 6 月 26 日、東京代々木
地2発3
酒井敏、地球流体電脳倶楽部
DCLと大学教育
地球惑星科学関連学会合同大会、セッションAe
2000 年 6 月 26 日、東京代々木
地2発4
(2) 成果プログラム等
プログラム名称:netCDF gtool4 規約
機能概要:netCDF規約の形で提案した抽象的数値データ構造。多次元数値データとその可視化情報を自己記述的に格納するための規約であり、扱うデータとしては地球惑星流体現象の研究で用いられる数値データを想定されている。可視化情報の取り込みは現在のところ二次元的作図のみに限定している。
使用言語:html
サイズ:2286Kb
備考:地球流体電脳倶楽部参加メンバーによって過去に作られたGTOOL3をべーすにしている。
プログラム名称:gtool4 Fortran90 library
機能概要:gtool4 netCDF 規約にしたがったデータをハンドリングするためのFortran90ライブラリとそれを使ったサンプルプログラム及びマニュアル. ISO/IEC1539-2:1994に準拠した可変長文字列ライブラリが用意されており、内部で使用される文字列長さには制限がない。可視化ツールとしてはdcl-5.1を利用する。
使用言語:ライブラリはFortran90、マニュアルはhtml
サイズ:2678Kb
備考:地球流体電脳倶楽部参加メンバーによって過去に作られたGTOOL3をべーすにしている。
プログラム名称:Rubyによる実装実験プログラム集
機能概要:オブジェクト指向スクリプト言語Rubyをもちいて行った、数値データハンドリングと可視化ツールハンドリングの例題集。dcl-5.1 拡張用ライブラリ、Ruby上で多次元実数配列演算をおこなうための新たなパッケージの試作品、Ruby 開発グループ本体への多次元実数配列演算のための仕様提案からなる。
使用言語:ライブラリはRuby、仕様案はテキスト形式
サイズ:137Kb
備考:Ruby上での多次元実数配列演算の考察と試験実装は、本研究グループ以外のRubyコミュニティー多数の参加によっている。
プログラム名称:dcl
機能概要:Fortran77をベースとした可視化ツール。汎用性が高く、UnixおよびWindowsなど数多くのプラットホームへの移植経験をもつ。地球惑星現象の研究に必須となる地図投影ルーチンと欠損値処理ルーチンをそなえている。Fortran90インターフェース、および、マニュアルが完備している。
使用言語:ライブラリはFortran90、Fortran77、マニュアルはhtml
サイズ:39084Kb
備考:地球流体電脳倶楽部の多数の関係者によって作成された資源をベースにしており、また、NCARのFFTルーチン、f2cが生成したc-lirbrary、地形データETOPO5をふくむ。これらはフリーウェアなので公開には支障はない。
(3) 特許出願記録
なし
(4) 新聞記事、雑誌記事、テレビ報道等
なし
(5) 受賞等
なし
(6) ワークショップ等
開催日: 2000 年 02 月 23 日 〜 02 月 24 日
名称: DAVIS プロジェクト作業集会
場所: 東京大学数理科学研究科 Rm 306
内容: DCL などパッケージングに向けての計画検討
参加人数: 8 名, その他ネットワーク経由で 4 名
開催日: 2000 年 01 月 31 日 〜 02 月 01 日
名称: DAVIS プロジェクト作業集会
場所: 東京大学数理科学研究科 Rm 306
内容: 各グループ(データ構造, DCL, Ruby) 現状報告すりあわせと
パッケージングに向けての検討会
参加人数: 8 名, その他ネットワーク経由で 4 名
開催日: 2000 年 01 月 13 日 〜 14 日
名称: DAVIS プロジェクト作業集会
場所: 北海道大学理学研究科地球惑星科学専攻 Rm 103
内容: 各グループ(データ構造, DCL, Ruby) 分業体制と作業状況
参加人数: 11 名
開催日: 2000 年 01 月 12 日 〜 14 日
名称: 公開ワークショップ
--- NCAR/CMS におけるモデル・データ・解析ツール ---
場所: 一般講演会: 北大理5号館大講義室,
ワークショップ: 北海道大学理学研究科地球惑星科学専攻 Rm 103
内容: 米国 NCAR の B. Boville を中心にした,
米国 NCAR/CMS におけるモデル・データ・解析ツールの歴史
と現状のレビュー, および, 多次元データの構造化と可視化解析ツール, 数値計算インターフェースの今後についての意見交換.
参加人数: 一般講演会 50 人, ワークショップ 24
開催日: 1999 年 12 月 13 日 〜 14 日
名称: DAVIS プロジェクト作業集会
場所: 東京大学数理科学研究科 056 演習室
内容: 製品化計画, 特に,
DCL マニュアルの検討・ruby 版解析ツールの仕様の検討
参加人数: 22 名
開催日: 1999 年 11 月 26 日
名称: DAVIS プロジェクト作業集会
場所: 九州大学理学部学実験室
内容: netCDF 形式データ構造の検討
参加人数: 19 名
開催日: 1999 年 09 月 27 日 〜 28 日
名称: DAVIS プロジェクト作業集会
場所: 京都大学総合人間学部地学実験室
内容: DCL Interfaceの検討, ruby 解析ツール実装実験, NetCDF データ構造
参加人数: 19 名
開催日: 1999 年 09 月 09 日 〜 10 日
名称: Ruby ワークショップ
場所: 一般講演会: 北大理5号館大講義室,
ワークショップ: 北海道大学理学研究科地球惑星科学専攻 Rm 103
内容: オブジェクト指向スクリプト言語 Ruby,
まつもと ゆきひろ (株式会社ネットワーク応用通信研究所).
Ruby の数学ライブラリの増強問題.
参加人数: 一般講演会 56 人, ワークショップ 14 人
開催日: 1999 年 08 月 03 日 〜 05 日
名称: DAVIS プロジェクト作業集会
場所: 北海道大学理学研究科地球惑星科学専攻 Rm 103
内容: 抽象データ構造と実装実験: DCL F, DCL C, DCL ruby など
参加人数: 20 人
開催日: 1999 年 07 月 28 日 〜 29 日
名称: DAVIS プロジェクト作業集会
場所: 京都大学総合人間学部地学実験室
内容: DCL C 化問題
参加人数: 23 人
開催日: 1999 年 06 月 24 日 〜 26 日
名称: ワークショップ -- 抽象データ構造に関する研究会--
場所: 東京大学大学院数理科学研究科演習室(052)
内容: 地球惑星流体現象に関係する研究教育現場に現われる
諸々の数値データの構造をレビューし抽象する.
参加人数: 26 人
開催日: 1999 年 04 月 16 日
名称: DAVIS プロジェクト作業集会
場所: 東京大学大学院数理科学研究科演習室(052)
内容: JST プロジェクト立ち上げ(gtool4 にむけて)
参加人数: 12 人