放射MTGメモ(2013/07/29)

参加者

  • 倉本圭、はしもとじょーじ、高橋芳幸、濱野景子、高橋康人、大西将徳

line-by-line 放射計算プログラムの開発(大西)

  • line-by-line による光学的厚さ計算プログラムについて
    • MT_CKD 連続吸収モデルによる連続吸収スペクトルの計算の評価
      • 2 つの計算アルゴリズム: 1. 大気の平均物理量をMT_CKD model に与えて光学的厚さを計算, 2. 大気の境界物理量をMT_CKD modelに与えて計算した後、大気の光学的厚さを計算
      • 0 - 26000 [cm-1] で両者を比較した結果
        • 全領域にわたって、2 のアルゴリズムの方が光学的厚さが大きい
        • 0 - 11000 [cm-1] 付近までの、比較的構造がある波数領域で相対誤差は大きい: 1 % 程度
        • 11000 - 26000 [cm-1] のあまり構造の無い領域は、相対誤差: 10^5 - 10^6 程度
        • 全体の吸収の強さを積分して比較すると、相対誤差は 0.8 %
        • フラックス計算結果 1: 258.7 [W/m2], 2: 258.6 [W/m2]
    • 1000[cm-1] 付近の連続吸収の寄与について
      • optical depth は、窓領域(750 - 1250 [cm-1])で 0.01 - 0.1 程度。800 - 1000 [cm-1] 付近は、連続吸収が線吸収スペクトルをぐっと押し上げている。
      • Flux は、800 - 1000 [cm-1] の領域で、連続吸収の影響がみられる。違いは 1 % 程度。
      • Brightness Temperature は、800 - 1000 [cm-1] の領域で、連続吸収の影響が大きい。違いは 1 [K] 程度。
      • 全波数領域(0 - 26000[cm-1])での OLR の違い
        • 線吸収+連続吸収 (cut off 25[cm-1]): 258.6 [W/m2]
        • 線吸収のみ (cut off 25[cm-1]): 265.0 [W/m2]
      • 系外惑星の計算において、連続吸収の有り無しが、放射計算にどの程度影響があるか見積もる
        • 温度が高く、水蒸気量が多くなった場合に、地表が見えるのか、大気が見えるのかが重要
        • 鉛直分布は Nakajima et al., 1992 を仮定して、計算してはどうか
        • 例えば、水蒸気量を 10 倍にして計算してみる
    • diffusivity factor の違いについて
      • 前回の計算結果は diffusivity factor = 5/3 の場合
      • diffusivity factor = 3/2 の場合も計算して結果を比較
      • 計算結果
        • diffusivity factor = 5/3: 258.6 [W/m2]
        • diffusivity factor = 3/2: 261.1 [W/m2]
      • 地球観測は diffusivity factor = 5/3 と驚くほどよく合う
      • diffusivity factor = 5/3 or 3/2 では見える高さが 10 % 程度異なるはず。今回の計算結果と整合性を確認する
    • 濱野さんからの依頼計算
      • 使用データ: HITEMP
      • 計算する大気: Pressure: 1 [atm], Temperature: 2000 [K], H2O 100%
      • 計算波数: 14800 - 23000 [cm-1], 波数分解能: 0.01 [cm-1]
      • 計算結果は、kspectrum とおおむね良い一致
      • cutoff を 25[cm-1] で計算したが、cutoff を変えた場合に、どの程度計算結果が変わるか追加計算を行う
    • line-by-line による光学的厚さ計算プログラムのまとめについて
      • 思った時が、やり時です。
      • 吸収断面積の計算についても計算できるようになっているとよい
  • 散乱過程の導入について
    • 散乱過程は、最終的には角度依存性を計算するコードを実装する予定だが、計算コストがとても大きくなることなどから、今は 2方向近似で導入する(dcpam の放射コードを使う)
    • dcpam に導入されている散乱過程は Toon et al., 1989
    • Toon et al., 1989 は2方向近似を仮定した放射計算を効率よく行う定式化について考察
      • delta-Eddington, delta-quadrature, delta-hemispheric mean technique を適用して精度を検証
      • 厳密計算に比べ、10 % 以下の精度で計算ができる (solar zenith angle が大きい時などは error が大きくなる(10 % を超える))
  • 今後の方針
    • まずは散乱過程を導入する
    • 何を計算するか
      • 極端な系の計算: 例、濱野さんのマグマオーシャン地球
      • Nakajima et al., 1992 を真面目に計算するとどうなるか
      • GCM 組み込み用の加熱率の計算
  • mtg 資料
  • To Do
    • H2O の量を変えた場合の連続吸収の評価
    • dcpam による散乱過程を導入した放射計算
    • 濱野さんからの依頼計算(cutoff を変えた計算)
    • line-by-line による光学的厚さ計算プログラムのまとめ

木星大気の計算(高橋康)

  • 混合比の計算
    • これまではアントワン式で計算していたが、クラウジウス - クラペイロンの式に変更
    • NH4SH 凝結を考慮する
      • NH3 の計算をより正確に行うため
  • To Do
    • 短波放射量の見積もり
    • 成層圏雲の形成過程の考察
    • 学内研究資金公募の書類作成
    • 惑星科学会発表申込み(締切 7/31)

次回の日程

  • 2013/08/12(月) 9:00-
    • 来週 2013/08/05 - 08/09 は月惑星シンポジウム、衛星系研究会、ITPSAA実習(神戸大) などのため、お休み