人工衛星から撮影した台風 1)普通,粘性境界層は渦を止める働きをする. ところが, 世の中には災い転じて福となす強運の持ち主もいる. 台風である. 南の海で発生した台風に対して, 海面付近の粘性境界層 (ここではエクマン層) は, それを止めようとして, 境界層の中を中心に向かって風が吹く.
ところが,そこは南の海の上, 湿った空気がふんだんにある. それは台風の燃料である. つまり境界層は渦を止めるどころか
燃料を集めて供給する
働きをしているのである. かくして, 台風は南の海上でどんどん成長することになる.