標準実験
始めに標準実験(A0)において得られた大気の構造を描写する.
この実験を基に後の実験と比較を行なう.
降水量・蒸発量
降水量は赤道で最大値を持ち, 南緯および北緯 20 度に極小値をもち,
南緯および北緯 45 度付近に再び極大値をもちさらに北へ進むにつれて
単調に減少する分布となっている(図 3 a).
熱帯域にはスケールが数 1000 km 程度の降雨の激しい領域が形成さ
れているのだが,
降水量の水平分布はほぼ東西平均値を東西に並べた分布をしている.
蒸発量は南緯および北緯 20 度に極大値をもち両ピーク値から赤道方向と
極方向へ向かうにつれて減少している.
蒸発量の水平分布は南北に 10 度から 30 度の領域にスケールが
数 1000 km 程度の蒸発の激しい領域が形成されているが, この
スケールは降水量において見られたものよりも大きい. 蒸発量の
水平分布は降水量よりも東西に変動の少ない分布をしている.
蒸発量と降水量がちょうどつり合う緯度は南北に 40 度のと
10 度とにおいてである. 赤道から極に向かう 10 度から 40 度の領域
では蒸発量が降水量を上回っている.
(a)
(b)
(c)
(d)
(e)
(f)
(g)
(h)
図 3. A0 実験による 12 時間平均降水量(a の太線, b)および
蒸発量(a の細線, c)についての時間東西平均(a)および時間平均水平断面図(b, c).
(a) 時間東西平均 12 時間平均降水量(太線)と蒸発量(細線)の南北分布.
各太さの破線と点線の差がその緯度での東西平均 12 時間平均降水量と蒸発量の
標準偏差を表す.
(b) 東西平均 12 時間平均降水量から東西平均蒸発量を引き算した. 単位 W/m^2.
(c) 12 時間平均降水量の水平断面図. 単位は W/m^2 (d) 蒸発量の水平断面図. 単位は W/m^2.
(e) (c) に同じ, ただし熱帯域について.
(f) (d) に同じ, ただし熱帯域について.
(g) 12 時間平均降水量から蒸発量を引き算した. 単位は W/m^2.
(h) (g) に同じ, ただし熱帯域について.
降水量・蒸発量の変動
(a)
(b)
(c)
(d)
(e)
(f)
(g)
(h)
図 4. 東西平均 12 時間平均降水量(a〜b)と東西平均蒸発量(e〜f)の日変化の
確率密度関数. 横軸は降水量または蒸発量を表す(W/m^2).
(a)
(b)
(c)
(d)
(e)
(f)
(g)
(h)
図 5. 時間平均 12 時間平均降水量(a〜b)と時間平均蒸発量(e〜f)の東西変化の
確率密度関数. 横軸は降水量または蒸発量を表す(W/m^2).
(a)
(b)
(c)
(d)
(e)
(f)
(g)
(h)
図 6. 平均 12 時間平均降水量(a〜b)と平均蒸発量(e〜f)の時間東西変化の
確率密度関数. 横軸は降水量または蒸発量を表す(W/m^2).
水蒸気の輸送
(a)
(b)
(c)
図 7. 水蒸気フラックスの南北構造(a)と水平構造(b,c).
(a) 水蒸気フラックスの南北成分(kg/kg・m/s).
(b) σ=1 から σ=0.99 までの水蒸気輸送量(W).
(c) (b)に同じ, ただし σ= 0.93 から σ= 0.87 まで .
循環の構造
(a)
(b)
(c)
(d)
(e)
(f)
(g)
(h)
(i)
(j)
(k)
(l)
(m)
図 8. A0 実験による循環の時間東西平均の南北構造.
(a) 温度(K), (b) シグマ座標鉛直速度, (c) 東西風 (m/sec), (d) 南北風 (m/sec),
(e) 表面気圧 (hPa), (f) 比湿 (kg/kg), (g) 凝結加熱(K/s), (h) 放射による温度変化率 (K/s), (i) 拡散による温度変化(K/s), (j) 質量流線関数(kg/s), (k) 相対湿度
(l) 温位(K), (m) 相当温位(K).