Jackett et al(2006) ノート
目次
密度, 温位, 保存的な温度, 海水の凝結温度のアルゴリズムを示す. 温位, (温位を使った)密度のアルゴリズムは MJWF03 を更新したもの, 保存的な温度と凝結温度のアルゴリズムは新規である. 塩分・圧力・保存的な温度を使った密度の計算手法は, 温位を使った密度の方程式と同程度の, 密度および対応する熱膨張率の誤差を生む. Feistel の新しい状態方程式と比較するとき, これらはともに international EOS の 二倍の精度を持つ. 温位を保存的な温度と関係付ける逆関数もまた示す. 実用塩分と絶対塩分の差を議論し, この差を本質的に無視する現在の方法は, 海洋モデルにおいて重大な誤差を引き起こさないことを示す.
1 イントロダクション
1.1 McDougall et al(2003) (MJWF03) の状態方程式について
- 動機
- 海洋モデルは, 海洋の温度の変数として, (温度よりむしろ)温位を使ってきた.
- 有理式による密度の計算のための精度良い, 効率的なコードが不足していた.
- ギブスの熱力学ポテンシャルに基づく Feistel and Hagen(1995) の状態方程式
- 海水の国際状態方程式(Fofonoff and Millard, 1983) より精度良く, またその弱点をいくつか解決
- 内容
- 海水の密度に 25 項の有理関数(圧力, 塩分, 温位の関数)をフィットさせた.
- Feistel and Hagen(1995) (FH95) の密度ルーチンと熱力学的な一貫性のある, 温位計算のための新しいアルゴリズムも提案した
- 特徴
- 密度や温位の計算は, ギブスポテンシャルの級数表現に基づくルーチンよりも効率的
- 海洋データとの比較によれば, 重要な海洋の変数に対する MJWF03 のアルゴリズムの精度は, FH と同程度
1.2 Feistel(2003) (F03) の状態方程式について
- 内容
- FH95 のギブスポテンシャルの更新
- 新しいデータの制約とギブスポテンシャルの項数の追加
- FH95 のギブスポテンシャルの更新
- 特徴
- 高圧における音速の改善
- 密度最大となる温度の再現の精度向上
- 係数の総数は 101 個に増加(FH95は83個). それによる計算コストは20%増
1.3 Jackett et al (2006) について
- 目的
- F03 のギブスポテンシャルの改良を, MJWF03 の状態方程式に反映させる.
- ポテンシャルエンタルピー, "保存的な温度"を使う状態方程式のアルゴリズムを提案
- 内容
- MJWF03 と同じ有理関数によるフィッティングを行う