図 4 はダストのない場合の対流場の様子である
(出力時間間隔を短くした結果は 付録 D に示す).
計算された対流は対流セルの空間スケールが鉛直方向に約 10 km, 水平方向に数 km
となるようなキロメータサイズの対流である.
対流層の厚さとプリューム上昇域の間隔から見積もられる対流セルの縦横比は
時刻を問わずおよそ 2:1 である.
対流プリュームの持つ温位偏差は午前中は 1 〜 2 K, 午後は 2 〜 3 K 程度である.
対流プリュームの幅は平均的には数 100 m 前後,
対流の発達した午後には 1 km 弱に達する.
成層圏にはある周期性を持った正負の温位偏差パターンが観察される. これは
成層圏への対流プリュームの貫入によって励起された重力波にともなうものである.
成層圏の乱流拡散係数には温位偏差パターンに対応した分布が見られる.
そこでは成層を不安定化する重力波の砕波が生じていると考えられる.
上昇域と下降域の幅は同程度であり, 下降域でも上昇域と同程度の大きさの風が吹く.
風速の値は水平風, 鉛直風ともに 20 msec-1
を超える. 温位偏差が正の領域は上昇域中心付近の狭い領域に限られている.
下降域で温位偏差が正となる場所では,
成層圏まで上昇した正の温位偏差を持つプリュームが
下方から引続き上昇してくるプリュームに押しやられ強制的に下降している.
強制的に下降したプリュームの断片は対流層内でさらに渦的な運動を示す.
このプリュームの運動により対流層内の混合は非常に効率よく行われる.
対流に伴う風の大きさは, 上昇する対流プリュームの持つ浮力の自由加速によって
説明することができる程度である.
重力加速度を ,
対流プリュームの持つ温位偏差を ,
平均温位を ,
対流層の厚さを
とすると, 速度
は以下のように見積もられる.
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