Subsections

D. 化学物性値の計算法

1 相平衡条件

1 飽和蒸気圧

飽和蒸気圧は, Antoine の式より求める.

455#455     (164)

ここで, 456#456 は飽和蒸気圧, 279#279 は温度, 457#457 である. 458#458 は Antoine 係数である. それらの値は化学便覧改訂 4 版から得る. 化学便覧改訂 4 版では, 圧力の単位が mmHg, 温度の単位が 459#459C であ るので, 単位の換算項が付加されている.

Table D.1: 水, アンモニアの Antoine 係数
  A B C
H460#460O(l) 7.9186968 1636.909 224.92
H460#460O(s) 8.184254 1791.3 238.1
NH461#461(s) 9.96382 1617.907 272.55

任意の温度が与えられた場合, 凝縮量は飽和蒸気圧と分圧の差として見積もるこ とができる.

2 圧平衡定数

硫化アンモニウムの生成反応

277#277     (165)

の圧平衡定数は,
462#462     (166)

である. 圧平衡定数を用いることで, 任意の温度に対する アンモニアと硫化水素のモル比の積を求めることができる.

2 生成のエンタルピー変化

1 潜熱

飽和蒸気圧と潜熱はクラウジウス・クラペイロンの式,

463#463     (167)

で関係づけられる. この式を 464#464 の式としてまとめなおすことで, 潜熱は以下のように与えられる.
465#465     (168)

但し 466#466 は凝縮成分に対する気体定数である. Antoine の式を代入すると,
467#467     (169)

である.

2 反応熱

硫化アンモニウムの生成反応

468#468     (170)

において, NH469#469SH のエントロピーと NH300#300 と H301#301S の エントロピーの差が, 反応に伴うエントロピー変化に対応する.

NH469#469SH のモルエントロピーは,

470#470 52#52 471#471  
  52#52 472#472  
  52#52 473#473 (171)

である. ここで 474#474, 475#475 は NH476#476 と N477#477S の標準化学ポテンシャル, 478#478, 479#479 はそれに 対応するエントロピー, 480#480 は react_NH4SH の反応式の 圧平衡定数である. NH300#300 と H301#301S のモルエントロピーの和は,
481#481 52#52 482#482  
  52#52 483#483 (172)

react_NH4SH_left と react_NH4SH_right の差
484#484     (173)

が反応のエントロピー変化に相当する. モル当たりの反応熱は,
485#485     (174)

である. NH469#469SH 生成反応の圧平衡定数を代入すると,
486#486     (175)

である.

Yamashita Tatsuya 2012-09-11