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6 地表面熱収支モデル

地中の温度は一次元の熱伝導方程式を解いて計算する.

\begin{displaymath}
\rho _{g}c_{p,g}\DP{T_{g}}{t} = k_{g}\DP[2]{T_{g}}{z}.
\end{displaymath} (55)

ここで $T_{g}$ は地中温度(K), $\rho _{g}$ は地面物質の密度 (kgm${}^{-3}$), $c_{p,g}$ は地面物質の比熱(Jkg${}^{-1}$K${}^{-1}$), $k_{g}$ は熱伝導率(Wm${}^{-1}$K${}^{-1}$) である. 地表面温度 $T_{sfc}$ $T_{sfc} = T_{g}\vert _{z=0}$ で与えられる.

地表面での境界条件は,

\begin{displaymath}
- k\left.\DP{T}{z}\right\vert _{z=0} = - F_{SR}(1-A) + F_{IR,net} + H ,
\end{displaymath} (56)

である. ここで $F_{SR}$ は地表面での太陽放射フラックス(鉛直下向きを正), $A$ は地表面での反射能(アルベド), $F_{IR,net}$ は地表面から射出される正 味の赤外放射フラックス, $H$ は地表面から大気へ輸送される顕熱フラックスで ある. 赤外放射, 顕熱フラックスは鉛直上向きを正にとっている. 計算領域下 端における境界条件は断熱壁を置く.

パラメータ

アルベド, 地面物質の密度と比熱, 熱伝導率の標準設定値は Kieffer et al. (1977) の標準モデルにおけるパラメータを用いる.


表 11: 地表面熱収支モデルのパラメータ
パラメータ 標準値 備考
$A$ 0.25 Kieffer et al. (1977)
$\rho _{g}$ 1650 kgm${}^{-3}$
$c_{p,g}$ 588 JK${}^{-1}$kg${}^{-1}$
$k_{g}$ 7.63 $\times 10^{-2}$JK${}^{-1}$m${}^{-1}$sec${}^{-1}$

これらのパラメータから計算される熱慣性 $I\equiv \sqrt{\rho
_{g}c_{p,g}k_{g}}$ は 272 Wm${}^{-2}$sec${}^{1/2}$K${}^{-1}$, 日変化の周 期 $t_{d}$ に対する表皮深さ $\delta
_{d}\equiv\sqrt{k_{g}t_{d}/(\rho_{g}c_{p,g})}$ はおよそ 8.2 cm となる.


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Odaka Masatsugu 平成19年4月25日