地球流体電脳倶楽部
1996 年 5 月 24 日
バイキング1号, 2号による大気成分の分析は次のように行われた. まず, 着陸船のまわりの気体を採取する. 採取した気体を質量分析器にかけて, 分子量を測定する. 質量分析器は真空容器中で走っている気体分子に磁場をかけて走路を曲げ, 分子の質量によって曲り方が違うことを利用して, 気体の質量を測定する機械である. 観測で得られた分子量の値から, 気体の種類を推定することができる.
バイキングの質量分析器の観測可能範囲は, 分子量にして12200である. 分解能は分子量が200のところで, である. (Owen et al,1977)
ここではおおまかに火星大気の質量を見積もる.
静水圧平衡が成り立つとすると
気体 | 重量比 |
95.32% | |
2.7% | |
Ar | 1.6% |
0.13% | |
CO | 0.07% |
0.03% | |
Ne | 2.5ppm |
Kr | 0.3ppm |
Xe | 0.08ppm |
0.040.2ppm |
(Owen,1992)
同位体比 | 地球 | 火星 |
89 | 905 | |
489 | 49025 | |
272 | 17015 | |
5.3 | 5.51.5 | |
296 | 3000500 | |
0.97 | 2.5 | |
(Owen,1992)
謝辞
本稿は 1989 年から 1993 年に東京大学地球惑星物理学科で行われていた, 流体理論セミナー, 及び 1996 年に行われていた 固体火星セミナーでのセミナーノートがもとになっている. 原作版は石渡正樹による「火星現象論」 (1989/05/19) であり, 林祥介によって地球流体電脳倶楽部版「火星現象論」 として書き直された (1996/06/23). その後小高正嗣によって加筆修正された (1996/11/13). 構成とデバッグに協力してくれたセミナー参加者のすべてにも 感謝しなければならない.
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