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: 地球流体理論マニュアル : 火星現象論

火星現象論: 火星大気の温度場

地球流体電脳倶楽部

1996 年 12 月 12 日


目次

概要:

火星の温度分布を概観する.

火星大気の温度の観測方法

\Depsf[100mm]{fig-prohibited/temp-1.ps}
図1 周回船からの視野(上図: Kieffer et al(1977), fig 3)と周回船の軌道

火星大気の温度構造(観測結果)

\Depsf[120mm]{fig-prohibited/temp-6.ps}
図6 極域上空の気温(Martin,Kieffer(1979), fig 3)

火星大気の温度構造 (模式図)

Appendix 気温の鉛直構造: $T(z)$ の決定法の骨子

たとえば火星大気が非散乱, LTE大気であるとする. また火星大気が平行平面大気であるとする. この場合には次のようにして $T(z)$ を求めることができる. 上向き放射の放射伝達方程式積分形は

\begin{displaymath}
I_{15}(z,\mu)=I_{15}(0,\mu){\cal T}_{15}(z,0,\mu)+\int_{0}^...
..._{15}^{a}\rho(z')}{\mu}B_{15}(T(z')){\cal T}_{15}(z,z':\mu)dz'
\end{displaymath}

という形に書ける. ただし,

$I_{15}(z,\mu)$ :15 $\mu$ 帯における, 高さ $z$ において, 図8のような方向に進む単位断面積当り単位時間当たり, 単位立体角当たり, 15 $\mu$ における単位振動数当りの放射エネルギー. これを放射輝度という. ただし $\mu=\cos\theta$ ( $\theta$ は天頂角)とおいた.

$k^a_{15}$ :15 $\mu$ 帯における質量吸収係数

${\cal T}_{15}(z_1,z_2,\mu) \equiv \exp (-\frac{1}{\mu}
\int^{z_1}_{z_2}k^a_{15}\rho dz')$ : 15 $\mu$ 帯における $z_1$ から $z_2$ までの透過関数. ただし$\rho(z')$は吸収物質の密度(単位体積中に含まれる吸収物質の質量)である.

観測からは大気上端から出る $I_{15}(z,\mu)$ が得られるので, これから上の放射伝達方程式をインヴァージョンで解いて $T(z)$ を求める.

\Depsf[90mm]{fig/temp-8.ps}
図8 $z$ 座標と $\theta$ の定義

参考文献

会田勝, 1982: 大気と放射過程, 東京堂出版.

Carr, M.H., 1996: Water on Mars, Oxford Univ. Press, 229pp.

Hess, S.L. et al., 1977: Meteorological results from the surface of Mars: Viking 1 and 2, J. Geophys. Res., 82, 4559-4574.

Kieffer, H.H. et al., 1977: Thermal and albedo mapping of Mars during the Viking primary mission, J. Geophys. Res., 82, 4249-4290.

Leovy, C.B., 1979: Martian Meteorology, Ann. Rev. Astron. Astrophys., 17, 387-413.

Martin, T.Z. et al., 1979: Thermal infrared properties of the Martian atmosphere 1. Global behavier at 7,8,11 and 20-$\mu$m, J. Geophys. Res., 84, 2830-2842.

Martin, T.Z. and Kieffer, H.H., 1979: Thermal infrared properties of the Martian atmosphere 2. The 15-$\mu$m band measurments, J. Geophys. Res., 84, 2843-2852.

Zurek, R.W., 1992: Comparative aspects of climate of Mars. Mars (Kieffer, H.H. et al., eds.), University of Arizona Press, Tucson, pp.799-817




謝辞

本稿は 1989 年から 1993 年に東京大学地球惑星物理学科で行われていた, 流体理論セミナー, 及び 1996 年に行われていた 固体火星セミナーでのセミナーノートがもとになっている. 原作版は石渡正樹による「火星現象論」 (1989/05/19) であり, 林祥介によって地球流体電脳倶楽部版「火星現象論」 として書き直された (1996/06/23). その後小高正嗣によって加筆修正された (1996/12/12). 構成とデバッグに協力してくれたセミナー参加者のすべてにも 感謝しなければならない.

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\begin{displaymath}
\mbox{dcstaff@gfd-dennou.org}
\end{displaymath}

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...について解けば良い.1
Appendix 参照

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Odaka Masatsugu 平成19年5月29日