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5 放射

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0.9 はじめに

放射過程としては 太陽から射出された短波放射と地球において射出された長波放射とに分けてと り扱う. 6% latex2html id marker 7265
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0.10 短波放射

0.10.1 短波放射フラックス

短波放射過程においては, 水蒸気とそれ以外の大気による吸収のみを考慮し 多重散乱は考慮しない. 吸収係数の異なった$N_S$個の波長帯を 考える(k-distribution method). $F_S$は,

$\displaystyle F_S(z)$ $\textstyle =$ $\displaystyle \sum_i^{N_S} a_i
\left[
(1-\alpha_A) F_S^I
\exp \left( - \tau_{S,i}(z) \sec \zeta \right)
\right.$  
    $\displaystyle \left. - \alpha_g (1-\alpha_A) F_S^I
\exp \left( - \tau_{S,i}(0) ...
... \right)
\exp \left( - ( \tau_{S,i}(0)-\tau_i(z) ) \sec \zeta_0 \right)
\right]$ (89)

ここで, $F_S^I$ は大気上端からの入射, $\zeta$ は入射角, $\zeta_0$ は散乱光の相当入射角で, $\sec \zeta_0 = 1.66$ とする. $\alpha_A$ は大気の散乱によるアルベドであり, 一定値を与える. $\alpha_g$ は地表面のアルベドである.

$\tau_{S,i}(z)$は, 大気上端を0とした光学的厚さであり,

\begin{displaymath}
\tau_{S,i}(z) = \int_z^\infty k_{S,i} \rho q dz
+ \int_z^\infty \bar{k}_{S,i} \rho dz
\end{displaymath} (90)

$k_{S,i}$ は波長帯 $i$ の水蒸気に対する吸収係数, $\bar{k}_{S,i}$ は波長帯 $i$ の水蒸気以外の大気に対する吸収係数である. これら吸収係数は$z$等に依存しない一定値を与える. $a_i$ は波長帯 $i$ の放射エネルギーの全体に対する割合である.

地表面での吸収は,

\begin{displaymath}
F_S(0) = \sum_i^{N_S} a_i
(1-\alpha_g) (1-\alpha_A) F_S^I
\exp ( - \tau_{S,i}(0)\sec \zeta ) ,
\end{displaymath} (91)

で与えられる.

0.10.2 入射フラックス

入射フラックス $F_S^I$ は, 太陽定数を $S_0$, 太陽地球間の距離の, その時間平均値との比を $r_S$, 入射角を $\zeta$ とすると,

\begin{displaymath}
F_S^I = - S_0 r_S^{-2} \cos \zeta .
\end{displaymath} (92)

$\zeta$ は次の式で与えられる.

\begin{displaymath}
\cos \zeta = \cos \varphi \cos \delta_S \cos H
+ \sin \varphi \sin \delta_S
\end{displaymath} (93)

$\delta_S$ は太陽の赤経, $H$は時角(地方時から $\pi$ を引いたもの)である.

地球の年平均入射量および年平均入射角は, 近似的に, 次のようになる.

\begin{displaymath}
\overline{F_S^I} \simeq - S_0 ( 0.127 + 0.183 \cos^2 \varphi ) ,
\end{displaymath} (94)


\begin{displaymath}
\overline{\cos \zeta} \simeq 0.410 + 0.590 \cos^2 \varphi .
\end{displaymath} (95)

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0.11 長波放射

長波放射過程においては, 水蒸気とそれ以外の大気による吸収と射出のみを考慮する. 吸収係数の異なった$N_R$個の波長帯を 考える(k-distribution method). $F_R$は,

\begin{displaymath}
F_R(z) = \left( \pi B(T_g) - \pi B(T_s) \right) {\cal T}^f(z...
...,z_T)
- \int_0^{z_T} \DD{\pi B}{\xi} {\cal T}^f(z,\xi) d \xi
\end{displaymath} (96)

ここで, ${\cal T}^f(z_1,z_2)$は, $z=z_1,z_2$ 間のフラックス透過関数, $\pi B \equiv \sigma_{SB} T^4$ は放射源関数である.

フラックス透過関数, ${\cal T}^f(z_1,z_2)$は,

\begin{displaymath}
{\cal T}^f(z_1,z_2)
= \sum_{i=1}^{N_R} b_i
\exp \left( - \delta_R \vert \tau_{R,i}(z_1) - \tau_{R,i}(z_2) \vert
\right)
\end{displaymath} (97)

$\tau_i(z)$は, 大気上端を0とした光学的厚さであり,
\begin{displaymath}
\tau_{R,i}(z) = \int_z^\infty k_{R,i} \rho q dz
+ \int_z^\infty \bar{k}_{R,i} \rho dz
\end{displaymath} (98)

$k_{R,i}$ は波長帯 $i$ の水蒸気に対する吸収係数, $\bar{k}_{R,i}$ は波長帯 $i$ の水蒸気以外の大気に対する吸収係数である. これら吸収係数は$z$等に依存しない一定値を与える. $b_i$ は波長帯 $i$ の放射エネルギーの全体に対する割合であり, 一定値をとると近似する. また, $\delta_R = 1.5$ を用いる.


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Yasuhiro MORIKAWA 平成19年6月8日